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雲南市の社会保険労務士の梶谷です。
今まで社労士試験に関する発信をしてきましたが、今回で一旦最終回になります。
まだ今までの記事を見られてない方はこちらをどうぞ。
さて、今回は今までと趣向を変えて、Q&A方式で社労士試験に関する疑問に答えていきたいと思います。
A.半分ホントで半分嘘です。
社労士試験が運によって左右されるのは間違いなく事実です。
例えば選択式試験で予想外の問題が出て合格基準点割れしてしまうとか、2つまで選択肢を絞り込めたけどことごとく間違ってしまったとか。
それだけなら自分の責任もありますが、その年の試験の問題が異常に難しくて合格率が著しく下がることもあります。
ここ数年だと、平成27年度試験で合格率2.6%というのがありました。
運がなかったために、何年も試験を受け続ける受験生も多くいます。
ただ全てが運かというと、当然そんなことはありません。
少なくとも択一式試験の合格ラインに到達するまでのところは努力がものを言います。
それから先の勉強は、言ってしまえば、
運を引き寄せるための作業
です。
麻雀だって運の要素は強いですが、それを引き寄せるためにあれこれ知恵を絞っているのだと思います。
努力次第で5割バッター(2回に1回は受かる)になれるかもしれませんし、2割バッター(5回受けないと受からない)で終わってしまうかもしれません。
どうせ運だからと腐らず、少しでも打率を上げるように取り組むことが大切です。
A.労務管理に関する一般常識(労一)です。
とは言っても、当然人によって難しいと感じる科目はそれぞれなので、一概に言うことはできません。
ただ、この科目によってあと一歩のところで合格を逃してきた受験生が多いのも事実です。
特に選択式で多くなっています。
某巨大掲示板では、「他の科目をすべて足切りなしでクリアした者に、労一選択というウルトラクイズの挑戦権が与えられる」とも言われています。
なぜそんなことになっているかと言うと、理由は2つあると私は考えます。
①予想もつかない問題が出題される
この労一の科目は、どのような問題が出題されるか予想できず、何を勉強したよいか分からないとよく言われます。
昨年度の試験では選択式5問すべて統計の名称を問う問題が出題されました。
他の年の試験でも一般常識の名のもとにあらゆる角度から問題が出題され、的を絞った勉強をするのが難しいです。
②難しい割に救済(合格基準点の調整)が入りにくい
これは少し専門的な話ですが、今までもご説明した救済については、受験者の得点率が著しく低い場合に発動します。
この労一については「一般常識」であるがゆえに、ほとんど勉強をしてこず、「会社に言われたから受けるか…」といった人や「記念に受けてみよう!」という人が勘で答えて正解する可能性が他の科目より高いです。
そのため受験者の得点率が低くならなくて救済が入らず、社労士試験のための勉強をしてきた人ほど泣かされるということが往々にしてあります。
A.そのとおりです。大変申し訳ございません。
社労士試験合格者の属性についてはこちらで確認できます。
これによると合格者の中で無職の割合は1割程度で、ほとんどがお勤めの方となっています。
そう考えると私のような会社を辞めて勉強に専念できた人は有利に感じますし、ズルいと思われても仕方ないかもしれません。
ここからは少し愚痴です。
勉強に専念する場合(以下、専勉)、落ちた時に「仕事が忙しかったから」とか、「まー今回は本気じゃなかったし」といった言い訳ができません。
加えて、もしも受からなかった場合、ただの「無職期間」という結果だけが残ります。
専勉の人に注意していただきたいのは、「受からなくても勉強したことがきっと将来役に立つ」などと決して思わないでいただきたいということです。
合格しなければ何も残りません。
これが学校の試験勉強なら、「東大はダメだったけど、それまでの勉強をいかして早稲田に合格した」ということがあるかもしれません。
しかし、資格試験の場合、「社労士はダメだったけど、それまでの勉強をいかして行政書士に合格した」というのはありえません。
一から行政書士の勉強をする必要があります。
また、例えば企業の採用面接を想像してください。
面接官:「この3年間の空白期間は何をされてたのですが?」
社労士落太郎:「社労士試験の勉強をしていました!」
面接官:「なるほど。それで結果はどうだったのですか?」
社労士落太郎:「落ちました!」
何となく面接の結果は予想できるような気がします。
合格できなかった時のリスクを考えて、会社に勤めながら受験するか、専勉で受験するかを選択する必要があります。
A.大丈夫です。
社労士試験は一般常識科目などを除けば、基本的には労働基準法や国民年金法などの法律の勉強をすることになります。
不思議なもので学校教育では法律について詳しく勉強はしないので、法律を学ぶ機会は大学の法学部でもない限りはあまりないかと思います。
では法学部卒の受験生が有利かというと、あまり関係ないと私は思います。
なぜなら法学部であっても、労災保険や健康保険法といった個別の法律まで詳しく学ぶということはそうそうないからです。
私も大学は社会学部卒で、法律に深く関わるような業務に就いたこともありませんが、別に法律を学ぶことについて抵抗感なく勉強することができました。
しいて言えば法律独特の言い回しが分かるのは法律を学んできた人のメリットかもしれませんが、逆に言えばその程度です。
今まで法律を学んだことのない人も、十分に合格を狙える試験です。
A.ホントです。
これから勉強を始める人の気持ちを折るようなことを言いますが、社労士試験の勉強は決して楽しいものではありません。
近年でも行政書士、介護福祉士、メンタルヘルスマネジメント検定Ⅰ種を受験しましたが、それと比較しても退屈だなと思います。
なぜかというと、基本的に勉強することが法律の条文や細かい数字などで、論理的な思考力が問われるというよりはひたすら暗記の作業だからです。
「あの条文の文言はなんだったかな」、「こういう時の金額はいくらだったかな」というのを機械のようにとにかく詰め込むのが合格への道なので、拒否反応が出る方も少なくないかと思います。
逆に言えば、詰め込み作業が苦にならない方は向いていると思います。
また、社労士試験は法律を学ぶ試験ではありますが、要するに
のお話です。
歳をとったらお金がもらえる、失業したらお金がもらえる、仕事中にケガしたらお金がもらえる…。
労働基準法や労働安全衛生法は直接お金の話ではありませんが、お金を得るための手段=労働に関する法律だと考えると、やはりお金について学ぶ試験だと言えるかもしれません。
ですので、「お金大好き!」「世の中カネや!」という方は案外楽しんで勉強ができるかもしれません。
A.私は違うと思います。
社労士試験に関わらず、資格試験においてよく言われることとして、「基本が大事だ」「基本さえ押さえておけば合格できる」ということがあります。
基本が大事なのは賛成ですが、基本さえ押さえておけば合格できる、には私は反対です。
そもそも社労士試験の基本とはどんなことでしょうか。
例えば国民年金法に合算対象期間というものがあります。年金の金額には反映されませんが、受給資格期間にカウントされる期間です。
厚生労働省ホームページに紹介されている合算対象期間は以下の通りです。
https://www.mhlw.go.jp/sinsei/chotatu/chotatu/shiyousho-an/dl/090327-1-k99.pdf
軽く10を超える種類があるわけですが、これは別に細かい知識というわけではなく、社労士試験においては基本となる知識です。
なぜなら当然それを分かっている前提で合算対象期間についての応用問題や事例問題が出題されるからです。
そしてこれは多くの科目がある中の「国民年金法」という中の、「支給要件」というカテゴリーの中の、ほんの一部に過ぎません。
これを踏まえて、本当に「基本をすべて押さえる」ということが可能でしょうか。
私は不可能だと思います。
ですので、しっかり勉強した人でも基本問題を間違うことは多々あります。
ではそこで失った点数をどこで取り返すかというと、
「重箱の隅」の知識です。
「こんなん勉強しても出ないだろうな」というところに限って本試験で出題されたりします。
択一式の試験であればまだ別ですが、選択式でこの重箱の隅が出題された場合は、足切りの存在から致命的になります。
例えば選択式の問題の組み合わせでよくあるパターンとして、
基本的な問題×3問、難しい問題×2問
というパターンがあります。
もちろん基本的な問題を3問正解すれば足切りは避けられるわけですが、これを1問間違ってしまった場合、難しい問題で1問とらなければなりません。
そして基本的な問題でも間違う可能性はあることはご説明した通りです。
ですので、ある程度勉強時間が確保できる方は以前の記事でもご紹介した科目ごとに分かれた詳しく書いてあるテキストで学習することをオススメします。
いかかでしたでしょうか?
今回の内容をまとめると、
①社労士試験は運も大事だけどそれだけじゃない
②一番厄介な科目は労務管理に関する一般常識
③試験に専念する人にもいろいろリスクがある
④法律を勉強してこなかった人でも全然OK
⑤社労士試験の勉強は基本退屈
⑥基本だけやれば大丈夫はウソ
です。
いよいよ社労士試験があと1か月に迫ってまいりました。
よく直前期は体調管理に努めるといいますが、それはせいぜい1週間前からで十分です。(コロナ感染には注意しなければなりませんが)
それまでは1つでも多くの知識を頭に詰め込み、1問でも多くの問題を解くことが重要だと思います。
10月の合格発表で皆さんが最高の笑顔、あるいは歓喜の涙を流すことができるよう、心より応援しています。
頑張ってください!
冒頭でもお伝えした通り、社労士試験に関する発信は一旦これで終了させていただきますが、本試験終了後に私の感想・分析などを発信できればいいなと考えております。
お楽しみに。
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